Type XX審美眼

 Type XX(タイプ 20)は1950年代にフランス軍が制式採用航空時計として定めた仕様書に基づいて作られたモデルのことですが,ブレゲのType XXが有名というかType XXといえば代名詞的にブレゲという感じの認識だと思います。しかし実際にはそんなことなくDodane, Vixa, Airainなど各種メーカーがこぞって製造していました。Mathey-TissotもType XX規格の製造をブレゲの依頼で受託したそうで,現在でも,その名残なのかオマージュモデルを機械式とクォーツの両方で販売していますし,Massena LabやHemelなどの小規模メーカーも,Mathey-Tissotのオマージュモデルをアレンジしコラボモデルとして発表しています。また,ムーブメントメーカーとして有名なLanderonもタイプ 20を販売しています。かなり前置きが長くなってしまいましたが,自分の審美眼に合うType XXは,現状新品として入手可能なものとしてはクォーツのMathey-Tissotのオマージュモデルか,Landeronのタイプ 20しか無いということが言いたいのです。私にとって理想のType XXはブレゲの57年製のNo.2988か,59年製のNo.3945なのです。なぜかというと,これらは,Type XXとして最もよく認知されているツーカウンタークロノグラフではなく,12時間積算計が追加されているスリーカウンタークロノグラフだからです。いわゆる第3世代のアエロナバル,これもスリーカウンタークロノグラフではありますが,ベゼルが厚すぎます。重厚なベゼルの時計が嫌いというわけではないのですが, Type XXに限っては初期の標準的な厚みのベゼルが私の審美眼的に最も美しいと思うのです。また,No.2988の復刻版的な扱いのブレゲの2067があると思うのですが,忠実に復刻すればいいものを,なぜかケースサイズを42ミリに拡張して自動巻き仕様にして,おまけに日付表示機能まで追加されていて,私の審美眼的には論外にも程があります。そういうわけで,自分の審美眼に合うType XX,現状入手可能なものとしてはクォーツのMathey-Tissotのオマージュモデルか,Landeronのタイプ 20しか無いなのです。厳密に言うと,クォーツ仕様のMathey-Tissotのオマージュモデルも現代風アレンジというのは理解していますが,もともとの Type XXは当然のことながら手巻きの機械式です。そういう意味では,Landeronのタイプ 20だけが,現状新品として入手可能な,自分の美眼的に合う世界で唯一無二のType XXということになってしまいます。Landeronのタイプ 20は59年製のNo.3945を忠実に再現しております。手巻きの機械式ムーブメント,ケースサイズ38ミリ,スリーカウンタークロノグラフで標準的な厚みのベゼルのType XXとして,現状新品として入手可能な唯一無二の時計がLanderonのタイプ 20なのです。

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